「紗久?」







聞き慣れた声が私の異変に気づいたようで、私の名を呼ぶ。





この無愛想な声は……







「玲桜……」






声の方へ視線を向ければこちらを無表情ながらもどこか安堵したような瞳で見つめる玲桜がいた。








「また無茶しやがって」






コツンッ







玲桜を見つめる私の頭に軽く玲桜の拳が落ちてくる。





だが、その拳はものすごい痛い訳ではなく。




むしろ小さいながらも優しささえ感じてしまう。