「優秀だった魔法使いの人たちはだいたいこの世界の違和感について気づいていて、元の世界に帰る術を探してる」
悠が話出したのはここへ住む者達の現状。
そうそれは知っている。
優秀な魔法使いの最高峰である、3大魔法使いだってその術を探しているのだから。
「………」
みんなどんなに幸せな世界でも帰りたいんだね。
ここは偽りの世界で、この幸せは偽りなもので、本物ではないから。
そう考えると胸が締め付けられるように苦しくなった。
「紗久、俺は紗久の望みなら何でも叶えるよ。俺は帰りたいとは思っていない。紗久の望む世界でなら俺はどんな世界でも生きていくつもりだから」
悠が今までにないほど苦しそうに、また悲しそうにそう言う。
「会いたかった。ずっと、ずっとこの時を待っていた」
そして私の手を悠の手がまたもう離さいと言わんばかりに強く握った。



