「おかえり、紗久」
「ぐぅっ、はっ、離せっ!!悠!!」
胡散臭い笑顔の悠に抱きしめられて、ジタバタと暴れる私だが、悠はびくともしない。
ただ今何故か悠の腕の中。
「それは俺への宣戦布告と取っていいようだな?」
「………玖音先輩、ちょっと落ち着いて下さい。今はすごろく中のはずでは?」
「大和、俺の優先事項は?」
「…………1に紗久ちゃん、2に紗久ちゃん、3に紗久ちゃん……でしたね」
「わかってんじゃねぇか」
「…………まぁ、はい」
怒り狂っているお兄ちゃんを落ち着かせようと大和先輩がお兄ちゃんに声をかけるが、珍しく丸め込まれている。
いや、あれは呆れて言葉も出ないって状況だろう。



