あぁ、思い出した。
私は確かに世界を救った。
自分の魂さえも犠牲にして。
何故、こんな大切なことを、大切な時間と共に忘れてしまっていたのだろう。
「わ、私……」
「思い出したようね、紗久」
ただただ泣き続ける私にいつの間にかそばにいた楓おばあちゃんが優しく触れる。
思い出してしまうと疑問だってたくさん浮かんでくる。
目の前にいるこの人だってそうだ。
「楓おばあちゃんが何故ここに?」
「そうね、そうよね」
楓おばあちゃんは本来、私の封印のために命を落とし、この世にはいなかった存在だ。
すぐに浮かんだ疑問を口にすればそのまま優しく優しく楓おばあちゃんに抱きしめられていた。
「会いたかったわ、紗久。よく1人で最後まで頑張ったわね」
おばあちゃんが優しい声で私を褒める。



