ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく


さっきまで低いトーンで話していた女子たちは笑っちゃうくらい詩月を見て声色を変えた。

「今日の放送もすごく良かったよ!ってか投稿ボックスに相談の紙入れたのに読んでくれないなんてひどいよ」

「あーはは、ごめん」

「それより詩月聞いてよー」

今度は甘えるような声を出す。


詩月はクラスの人気者だ。あの放送を始めてからはクラスに限らず学校では一目置かれる存在になっている。

その高い身長と綺麗な顔立ちで入学式の時から女子たちが騒いでいたっけ。モテすぎて男子から恨まれると思いきや全然そんなことはなくて。

上級生の先輩から呼び出されても帰ってくる頃には連絡先を交換するぐらい仲良くなっていたりする。

みんな詩月のことを人懐っこくて話しやすくて明るくて。口を揃えて〝いい人〟だって言う。

……本当にそうかな。

今だって「羽柴さんが……」と私の愚痴を言いかける女子に対して「あれ?そういえば中谷、髪の毛切った?」なんて話を反らして。

「でもちょっと切りすぎちゃってさ~」

「そう?普通に似合ってるよ」と詩月が笑いかけると漫画のように目がハートマークになっていた。