ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく



そして善は急げということで次の日。エアコンが付いている電車に私と詩月は揺られていた。

もちろん向かっている先は東和田市。詩月が14歳まで住んでいた場所。車内は快適だし昼寝でもしたいところだけど私は心地いい振動を利用して思念で見えた光景を詩月に話した。

まずは中学時代の詩月から。心情はあの男の子とシンクロしていたせいかまた殴られた痛みが襲ってくる感じがした。
 

「擁護するわけじゃないけど、詩月は殴ったり蹴ったりはしてなかった。周りの男子とは友達みたいだったけど」

ただガラが悪かったのは確かだ。

制服を着崩して、すべてを否定するような目付き。目の前で男の子が殴られててもなんでもないって顔してた。

チラッと詩月を見ると、やっぱり思念の中の詩月とは重ならなくて私のほうが混乱した。

「なんか……思い出せそうなことある?」

私が聞くと詩月は静かに首を振る。


「その男の子の名前とか分かる……?」

気持ちを整理させながら詩月がやっと声を出した。
 
「ごめん。それは分からなかった」

「……そっか。あのぶつかった時、俺の顔を見て慌ててた気はしてたんだ。そっか。そうだったんだ」

詩月はぎゅっと手を握りしめていた。