たしかこの力に気づいたのは中学2年生の時だった。

あの頃の私は両親の不仲のせいでストレスが溜まっていたし、この能力に惹かれて次々と友達や噂を聞いた同級生から上級生までもが自分の周りに集まってくるのが嬉しかった。

だけど、そんなのは最初だけ。


彼氏の気持ちが知りたいからと、彼の私物を持ってきた人。

その私物から見えた思念は彼が別の女の子と遊んでいたり、深い関係の場面が見えて、隠さずにありのままを伝えたら『そんなことあるはずない!嘘をつかないで!』と怒鳴られたこと。

次はある男子生徒が廊下で落とし物をして。それを拾ったら女子更衣室にカメラを隠してる姿が映って。

それはやめたほうがいいと注意したら次の日。〝虚言癖がある頭のオカシイ女〟という落書きが机にされていた。

結局、みんな知りたいことは自分が得をする良いことだけで。それ以外のことを言うと私の嘘だと責め立てる上に、デタラメなことを言って注目されたいだけだって力を否定する。

嫌な世界、汚いことばかり。

みんな嘘だらけで本当にうんざり。

そのドロドロとした黒い感情は見えてしまう私にまで影響する。だからこの力のことは誰にも言わず、なるべく思念を読み取らないように生活しようと決めた。

それなのに、厄介な人に厄介な頼まれごとをされてしまうなんて……。