『誕生日プレゼント……本じゃダメだよな』

父は結局ケーキだけを買ってプレゼントはまだ用意していなかった。

『そうね……。本はたくさんあるし、だってほら』と母はある場所を指さす。それはレンガ作りの暖炉。その中には焼けてしまった本が積み重なっていた。

『きっとあの子にとって私たちの考えは窮屈だったのね』

灰になった本を見て、ようやくそれに気づいた。


『世那が帰ってきたら叱らないであげてください』

『それを言うならお前もだろ』

次に指をさしたのは父。そこには暖炉の熱でダメになってしまった植物が並んでいる。

世那がつけた炎は確かに大きくなって煙を作った。そしてそれは予想どおり室内へと充満した。

『まったく。おかげで部屋が煤だらけだ』

父はため息をついていたけれど、そんな反抗をしてしまうほどのストレスを与えてしまったのは自分たちのせい。