こんな時間が楽しい。

この前まで死のうとしてたのに、
その事実ですら忘れようとしている。

忘れるきっかけを作ったのはそかの誰でもないchat。

でもふと、chatにどう接したらいいか分からなくなる。
時々、せつない顔をしているから。


「別れきて 運命絡まり また出会う」

突然過ぎたchatの言葉。
運命...か。

「それって俳句?」
「ううん。川柳。」
「どう違うの?」
「俳句は文語で季語を入れないといけない。それに対して川柳は、口語で季語は入れなくてもいい。」
「...。」

意外にもさらっと答えられてしまったため、唖然となる。

「どうした?」
「いや、意外と知ってるんだなぁって。」
「それって見た目で判断してない?」

綺麗な青い瞳に私が映る。

「それもあるけど...。」
「慣生は意外と素直だよね。」
「そうでも無い。」
「ひどーい。僕は傷ついた。心理的虐待。差別!差別だ!」
「そうじゃないってば!!」
「もう訴えてやる。」
「もー。chatは変なところノリノリになる...。」
「慣生は静かすぎるんだよ。本当はもう少し騒ぎたいのに騒げないみたいな顔をいつもしてる。」

ほらまた。
chatの得意技。

心を読まれるということは、自分を知られるということ。
恐怖はあっても、嫌なことじゃない。

chatは私のことを私に聞かずに理解している。
それは話すことが苦手な私にとってどれだけ楽か...。

「chatの好きなのって何?」
「ん~。なんだろう...。」
「ものだからね。」

ふと思った。
chatは何が好きなんだろう。
それこそ見た目だけで言ったらバスケとかが好きそうだ。
でも知識がある分、本やチェスとかも好きそう...。

そんなこと考えていたが。

「慣生をからかうことかな!」
「はぁ...。」
「なに?なんで?」

どうやら真面目に答える気がないらしい。
chatは隠し方が少しうまい。
話したくないのか、それともただただ遊んでいるのか。

「chatはいつもはぐらかすように、自分のことは答えないよね。」
「そうかな?そんな気はなかったんだけどなぁ。」
「本当は?」
「慣生といることかな。」

さらっという。
真っ直ぐ私を見つめて。
でも、からかってる他ない。

「そうやって。聞くのが馬鹿馬鹿しくなってきちゃった。」

彼はたまに本当か嘘かわからなくなる時がある。
今がそうだ。言ってることは嘘っぽいのに顔は真面目。

「本当だよ。」

私は何も言えなくなる。
嬉しいはずなのに、素直に言えない。

「慣生は素直じゃない。嬉しいなら嬉しいって言ってくれればいいのに。」
「素直じゃなくて悪かったですね。しかも嬉しいって決めつけないでいただきたい。言うなら、嫌なら嫌ってでしょ。」
「だって、慣生もそうでしょ?」
「...」

怖いくらい読まれてる。
私は目線を前に戻して、外を眺めた。

「そう思ってれば~。」
「ほんと、素直じゃないね~。」

ちょっとした会話が今の私の支えになる。