君には僕しか見えない。



俺がホッと息をついていると、彼女は肩から
下げていた鞄から見慣れた教科書等々を
引っ張り出し始めた。


勉強道具一式を出し終えた彼女が礼儀正しく
並べた膝の上に手を置いて黙る姿が、暗に俺を
待っているように見えたので、俺も筆記用具を
取り出した。



彼女は俺に頭を下げると、宜しくお願い
します、といつもより比較的低い声で
言った。


俺も頭を下げ、彼女のための勉強会は始まった。