君には僕しか見えない。



「……〝遙〟も十分良い名前だと思うけど。」


俺は彼女とは反対に落ち着いた声音でそう
言った。


「ありがとう。……何かね、〝昇〟って
空を飛んでいけそうな感じな名前で
良いなぁって。私も空が飛びたいなって
思ったんだ。」


『私も』と言われたら俺が空を飛べる
みたいじゃないか。


…ていうかさ。

「……それって遙さんの名前にも言える
ことじゃない?空に関係してそうだけど。」



「あ!本当だね。
………でも〝空〟って、私好きだな。」


何に対して『でも』なのか。


疑問に思ったが、訊くのも面倒なので訊かない
ことにする。