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放課後になり、あたしは菜々花を呼んで誰もいなくなった教室に残っていた。


「話って何?」


そう聞いてくる菜々花はどこかソワソワとした様子を見せている。


「あのさ、拓巳の事なんだけど……」


「あぁ、なに?」


菜々花の素っ気ない返事に少しだけ戸惑う。


拓巳の名前を出せば動揺すると思っていたのに、違ったようだ。


「菜々花は拓巳イジメをまだ続けるの?」


「そんなの当たり前じゃん。朱音に届いたメールを里佳も読んだでしょ?」


「でも……拓巳と菜々花は友達だよね?」


「そうだね。でもさ、それとこれとは違うよね?」


菜々花がため息交じりにそう言った。


まるで物分りのわるい子供に呆れているような様子だ。