クラスに駆け込むと数人のクラスメートたちが輪になって話をしていた。


あたしを見つけた瞬間「ねぇ、声かけられた？」と、すぐに質問が飛んでくる。


校門のところにいた男の人の事を言っているのだと理解できた。


「うん……もしかしてみんなも？」


そう訊ねると、みんな一様に頷いた。


「あの人たちって仁の知り合いかな？」


「きっとそうだよ。仁の名前言ってたもん」


「どうしよう、あたし仁と同じクラスだって素直に言っちゃったよ！」


青ざめ、身を震わせてそういうクラスメートたち。


あたしは窓辺へ向かい校門を見おろした。


男たちはまだその場にいて、登校して来る生徒たちに声をかけている。


生徒たちは男に驚き、逃げるように校舎へと向かっている。


「里佳、おっはよー！」


暗い雰囲気の教室に明るい声が聞こえて来てあたしは振り向いた。