最高に幸せな気分は、次の瞬間かき消された。


「お前さ、ナメてんの？」


どこかで聞いたことのある声が聞こえて来たのだ。


あたしと蓮はハッとして声が聞こえた方へと視線を向ける。


自販機の陰に隠れるようにして立っている人物、拓巳の姿が見えた。


拓巳の向こう側には同じ制服を着た幼い顔の男子生徒が青ざめている。


どう見ても入学したての１年生だ。


「ご、ごめんなさい……」


１年生の子は声を震わせて謝っている。


「はぁ？　全然聞こえねぇよ！」


拓巳は声を荒げ、１年生の子の胸倉をつかんだ。


「ご、ごめんなさい！」


「方がぶつかった時にさっさと謝れよ！」


「すみませんでした！　ごめんなさい！！」


真っ青になり、涙を浮かべて叫ぶ１年生。


しかし拓巳は手を離そうとしない。