菜々花は一瞬何かを言いかけたけれど、途中で口をつぐんだ。


「里佳、調べてくれてありがとう。あたし帰るね」


そう言い、立ち上がる菜々花。


入れてあげたジュースはひと口も飲まれていない。


「菜々花……」


呼び止めようとしたその声は菜々花には届かず、玄関を出て行く足音が聞こえて来たのだった。


あたしはパソコンの画面をぼんやりと見つめて、菜々花のために入れたジュースをひと口飲んだ。


氷が溶けて味が薄くなっている。


菜々花はあたしに手伝ってほしかったのかもしれない。


自分だとバレないために、このパソコンから裏サイトへと入りたかったのかもしれない。


菜々花はそれをグッと飲み込んで帰ってしまった。


それは拓巳をイジメる決意をしたということなんだろう……。