「ちょっと、今の話は本当なの?」


その声にハッとして振り向くと、そこには菜々花が立っていた。


「菜々花……」


あたしは動揺してしまい、言葉が出てこない。


代わりに朱音が返事をした。


「本当だよ。あたしは仁をイジメる事に決めた」


「そんな、それじゃあたしはどうしたらいいの!?」


菜々花も拓巳をイジメなければならないのだ。


仁と朱音の関係が崩れてしまったことで、こっちにまで悪影響が出てきている。


「そんなの拓巳をイジメればいいだけじゃん」


朱音がなんの迷いもなくそう言い切った。


あたしは唖然として朱音を見つめる。


どうしてこんなことになってしまったんだろう。


相手をイジメない決意をした朱音は、今はもうどこにもいなかった。


「あたしは朱音と2人で施設に行くならいいと思ってた」


「あたしは仁の為に施設になんて行かない。拓巳だってそうだよ。いくら菜々花が真面目になるように説得しても、変わらないじゃん」