ターゲットは不良グループだ。


それなら、拓巳を不良の道から軌道修正させればいい。


きっと、そう考えたんだ。


だけどその気持ちは拓巳には届かない。


突然おせっかいになった菜々花にしかめっ面をした。


「お前には関係ないだろ」


拓巳はそう言うと、教室を出て行ってしまったのだった。


菜々花はその場に立ち尽くす。


「菜々花……」


あたしはそっと近づいて、その肩に手を置いた。


「拓巳は本当はいい奴なんだよ?」


「うん、わかってる」


「喧嘩だってさ、きっと誰かを守るためにしてるんだよ」


「きっとそうだよね」


「イジメていい奴じゃないんだよ……?」


菜々花の目からボロボロと涙がこぼれ出す。


あたしは菜々花の体をギュッと抱きしめた。


「頑張ろう菜々花。みんなを更生させて、《イジメ.com》の必要を無くさせよう」


あたしは本気でそう言ったのだった。