「それにさ、あたし決めたんだよね」


朱音が何かを吹っ切れたような表情でそう言った。


「決めた?」


蓮が聞く。


「そう。あたし、あんなサイトに踊らされたりしないって決めたの。仁はあたしの彼氏だし、あたしが仁を傷つけるなんてやっぱりあり得ないから」


朱音はしっかりとした口調で言葉を続ける。


「それってつまり、ミッションを放棄するってこと?」


あたしは聞いた。


「そういうことになるね」


「でも、それって……」


「学校側を敵に回す事になると思う。でも、大丈夫! きっとパパがなんとかしてくれるから」


朱音の家はこの周辺では有名な富豪だった。


このあたりの土地を沢山持っていて、学校にも多額の寄付をしている。


「正直、こんなところでパパの力を借りるのは嫌なんだけどね」


朱音はそう言い、少しだけうつむいた。


普段から親の七光りと言われている朱音からすれば、苦渋の決断だったんだろう。