「なるほど。それで、私にどうしろと?」


校長の目じりのシワが微かに動く。


微笑んでいるのではない、少し目が吊り上がったのだ。


あたしはそれを見逃さなかった。


「ターゲットを変えてください」


蓮がそう言うと、校長はソファの背もたれに深く沈み込んだ。


ふぅ……と、聞こえるようなため息を吐き出す。


「申し訳ないが、それはできない」


「どうしてですか!?」


「ターゲットになる生徒がすでに決まっていることは、君も説明で聞いているだろう」


そう言われ、あたしはクラス説明会の出来事を思い出していた。


不良グループが参加しなかったクラス説明会。


それはターゲットが彼等だったからだ。


「それなら、どうして彼らの仲のいい人間にイジメをさせるんですか?」


蓮は食い下がる。


「それはただの偶然だよ、偶然」


校長はそう言い、声を出して笑った。