海はどこまでも真っ暗で、ずっと見ていると自然と吸い寄せられそうになってしまう。


あたしは空を見上げた。


満点の星空だ。


「とにかく、今日はどこか寝る所を探さなきゃ」


あたしがそう言った時、砂浜を歩く足音が聞こえて来てあたしと由梨は同時に振り向いた。


暗くて見えないが、人影が動いているのがわかる。


その音は徐々にこちらへ近づいてきていて、あたしは咄嗟に身構えた。


「立石先生?」


由梨がそう言った。

ハッとしてその人物を見ると、それは確かに立石先生のようだった。


「お前ら、こんな所でなにしてる」


いつも通りの口調で立石先生はそう言った。


なんで、こんなところに立石先生が……?


そう思い、ハッとして由梨を見た。


「由梨、スマホは?」


「え? あぁ、そういえばあの家に置きっぱなし」