気が付けばあたしはスマホを投げ捨てていた。


地面に叩きつけられて画面は割れ、砂まみれになったスマホを見ても、心臓は爆発しそうなくらい高鳴っている。


「里佳……?」


由梨が不安そうな顔を向けて来たので、あたしは由梨の手を握りしめて歩き出した。


どこかへ行こう。

どこか、遠くへだ。

学校へも家へも戻らない。

戻ればきっとまた彼等の監視下に置かれることになる。


早足なあたしに由梨はついてくるのがやっとだった。

だけど、歩調を緩めるわけにはいかなかった。


どこか遠くへ逃げなきゃ。


その思いだけで、足を動かしていたのだった。