そこにいるのは確かに由梨なのに、まるで別人のように感じられた。


「ちゃんとイジメないと、クリアしないかと思ったんだ」


後ろから蓮が絞り出すようにそう言った。


「仕方がなかったんだ。俺はどうしても里佳を守りたかった。そのためにはどんなことだって――」


「黙って!!」


あたしは蓮を睨み付けて怒鳴った。


蓮があたしを見て気まずそうに顔を伏せた。


蓮はこのことを知っていた。


知っていて、黙っていたんだ。


いや、そうじゃないかもしれない。


元々蓮は由梨を痛めつけるつもりだったのかもしれない。


あたしは由梨の前でしゃがみ込み、最初に猿轡を解いた。


由梨がせき込む。


あたしはその背中をさすりながら、涙が浮かんできた。


「ごめん……ごめんね由梨……」