階段を上がりきると、廊下が真っ直ぐに続いている。


あたしは奥側にあるドアを開けた。


カーテンが閉め切られて薄暗い部屋の中、人の呼吸の音が聞こえて来る。


あたしはゴクリと唾を飲みこみ、部屋の電気を付けた。


瞬間、現れた光景に息を飲む。


その部屋に由梨はいた。


由梨は部屋の奥でうずくまっている。


手足はロープで固定され、口には猿轡を噛まされ、顔は青アザだらけだ。


由梨の足元には花瓶が2つ転がっていた。


由梨が助けを求めてこれを落としたんだろう。


早く助けなきゃいけないのに、あたしの体は言う事を聞かなかった。


目の前の状況を正しく認識することができない。


ゆっくりと、自分でももどかしいくらいゆっくりと由梨に近づいた。