イジメのある学校なんて周囲からの評価は下がるだけだ。


「たぶん、学校側にもメリットはあるんだ」


「え?」


あたしは眉間にしわを寄せた。


「ターゲットになるのはクラスの問題児ばかりだった。彼らをイジメて不登校に追い込むことで、学校側は彼らが起こす問題から解放されているんだ」


問題児……。


あたしは不良グループの顔を思い出していた。


確かに彼らは1年生のころから派手で、学校に来てもちゃんと授業を受けていなかったりする。


お酒やタバコが見つかって謹慎処分をくらった生徒も少なくない。


「問題児をイジメて不登校にさせるのが目的……?」


蓮が聞く。


桐嶋先輩は曖昧な表情で頷いた。


「まぁ、きっとそれだけじゃないんだろうけどね。もっと、学校側にとって有利になることがあるからこそイジメなんてやらせてるハズだ。でも、それがなんなのかはわからない」


桐嶋先輩はそう言い、一口水を飲んで大きく息を吐き出した。


できるなら話したくない内容だったみたいだ。


「さ、そろそろ食べてもいいかな?」


桐嶋先輩は気を取り直すようにそう言ったのだった。