「おい、勝手に入るなよ!」


蓮が慌てて追いかけて来るけれど、無視をする。


「由梨、いるんでしょ? 由梨、返事して!」


家の窓にはカーテンがかかっていて中の様子はわからない。


けれど、呼びかければ返事くらいあるはずだった。


いや、この家にいるだけなら、何事もないのなら、チャイムが鳴れば出られるはずだ。


「やめろよ里佳」


蓮にそう言われた直後だった、家の中から物音が聞こえた。


ドンッと何かが倒れるような音。


ハッとして息を飲む。


誰かいる!


きっと由梨だ!


そう思ったあたしに迷いはなかった。


窓に手をかけて力を込める。


当然、鍵がかかっていて開かない。