「俺はイジメる側になったことはないよ」


水を持って来た桐嶋先輩はキッパリと言い切った。


「でもそれは指示を出されなかったからに過ぎない。実際にサイトから指示を出されてイジメを実行した友人たちを何人も知ってる」


桐嶋先輩の言葉にあたしは目を見開いた。


桐嶋先輩の言葉は昨日の説明がすべて本物だと言っている。


「実際に、イジメを指示するメールも見せてもらった。誰が誰をイジメるのか、ちゃんと書かれていた」


「それで、イジメを実行してどうなるって言うんですか?」


あたしはつい大きな声でそう言ってしまい、慌てて周囲を見回した。


幸い、誰も今の言葉を聞いていなかったようだ。


「それは説明でも聞いただろ? イジメに成功すれば就職も進学もできるって」


「たったそれだけで、人をイジメるんですか? 学校側のメリットがあるとは思えませんけど」


今度は静かな声でそう聞いた。