「重体なんだってさ」


不意に後ろからそう言われて振り返ると、そこには朱音が立っていた。


朱音は沢山のクラスメートとひきつれて登校してきている。


自分の鞄も、他の子に持たせていた。


「重体って、そんな……」


由梨が青ざめている。


不良グループで残っているのは、これで由梨1人になってしまった。


昨日黒スーツの男たちに誘拐されそうになっているし、他人事ではないのだろう。


あたしはそんな由梨の手をギュッと握りしめた。


少しでも由梨の不安が和らげばいいのだけれど。