由梨はチラリとあたしの方へ視線を向けた。


今の話をどう受け止めているのか気にしているのかもしれない。


正直すごく驚いた。


由梨にそこまで想う人がいたことも驚いたし、暴行事件の結末もショックだった。


「できればすぐに里佳と仲直りしたかった。だけど、バレてないと言っても自分は許されないことをしてしまったし、自分から積極的に話かけることができなかった」


『バレていない』


その言葉に胸がチクリと痛む。


由梨の中でも、きっと世間の中でも、暴行の犯人は誰だかわからず終いなのだろう。


そんな情報を知っている学校側に寒気を感じた。


学校は一体どんな情報網を持っているのだろう。


とてつもなく大きく、闇の部分まですべて把握できる力があるに違いない。


「由梨、話てくれてありがとう」


あたしは由梨の手を握りしめてそう言った。


由梨は安堵したような笑顔を浮かべる。


あたしに突き放される覚悟で話してくれたんだろう。


確かに由梨がしたことは犯罪だ。


簡単に許してはいけないし、見逃してもいけない。


それならちゃんと国が裁くべきだ。


学校が、《イジメ.com》を使用して裁くようなことじゃない。


あたしは由梨の手を強く握りしめたのだった。