由梨の真っ直ぐな気持ちにあたしの胸がキュンとしてしまう。


まるで、あたしが誰かに恋をしてしまったような感覚だ。


「だけど、あたしが1年生の時彼が暴行事件を起こしたの。相手はただ道を歩いていただけの学生だった。


彼氏が一方的に相手を攻撃していただけだったのに、あたしはそうは思わなかった。相手から先に手を出したんだと思い込じゃったの」


あたしは、立石先生に見せられた資料を思い出していた。


あの事件の事を言っているのだ。


「仕返しのつもりで大勢で押しかけて行って……相手はまだ入院してる」


由梨の言葉にあたしは一瞬頭の中が真っ白になった。


入院?


資料の中では暴行事件の仕返しは去年の8月に行われたと書いてあった。


今はもう6月だ。


10か月もの間、相手は入院していることになる。


「あたし、自分のせいで眠り続けている相手がいるってわかると途端に怖くなって、彼氏から離れたんだ。彼氏の暴行事件が一方的だったことは、その後知った」