「お兄ちゃんが高校に入学した頃派手なグループの子と付き合い始めて、その人たちがよく家に来るようになったの。


たまり場ってほどじゃないけれど、ほぼ毎日誰かが遊びに来てた。その中の1人とあたしは付き合いはじめたの」


それは初めて聞く話だった。


由梨は相手の事を思い出したのか、そんな話をするのが恥ずかしいのか頬を赤らめている。


さっきの蒼白顔よりもずっとマシだ。


「好きな人に気に入られたくて、髪を染めてピアスを開けて化粧をした。話題を合わせるためにタバコも始めたし、ロックを聞くようにもなった」


好きな相手と一緒にいると、趣味は相手へと伝染していく。


由梨の場合は好かれたいという強い気持ちも、後押しになったようだ。


「そのせいで里佳とは距離が離れて行ったけど、最初はそれでいいって思ってた。誰よりも彼のことが好きだったから」