由梨はあたしが最低な事を考えているなんて、思いもしないだろう。


なにも知らずに明るい笑顔を浮かべている由梨を見ていることが辛くて、あたしは午後から早退してしまった。


1人で外の空気を吸い込むと、少し気持ちが楽になる。


あたしは蓮に危ない職業の人たちがどんなことをするのかを、質問することができなかった。


本当なら知っておいた方がいいと思う。


だけど、どうしても聞けなかった。


聞いたら決心は揺らいでしまうだろう。


由梨を助けたいと思ってしまうだろう。


そうならないためにも、なにも聞かなかった。


あたしは家に戻り、スマホを確認した。


数日前に書き込んだセフレ募集のサイトだ。


自分の書き込みを消そうと思ったのだが、掲示板内に制服姿の由梨の写真が貼られていて驚いた。


由梨の事を完全に特定した誰かが、本物の写真を入手して書き込んだのだろう。


それを見てあたしは全身の力が抜けてしまった。