「つまり、あたしが怪しまれる心配は少ないってことですよね?」


「そういうことだね。できれば自分は陰で見ているだけの方がいい。誰か信用のある友人に頼んでその子たちにイジメてもらうんだ」


桐嶋先輩の言葉にあたしは朱音の顔を思い浮かべていた。


イジメることに快感を覚えてしまった朱音なら、喜んで引き受けてくれそうだ。


だけど……頼んだ友人たちが裏切らないとは、限らない。


あたしの名前を出せばそこでミッションは失敗だ。


一見いいように見えるけれど、リスクは高い。


「それならいい方法がある」


蓮がふと思いついたようにそう言った。


「いい方法?」


あたしが質問をするより先に、蓮はスマホを取り出していた。


誰かにメールを打っている。


「誰に連絡するの?」


「俺のイトコ」


「イトコ?」


あたしは首を傾げた。


桐嶋先輩も不思議そうな顔をしている。