「由梨をイジメなきゃいけないの」


そう言った瞬間、菜々花が体を跳ねさせた。


ベンチの上で膝を抱え、小刻みに震える。


持っていた菓子パンが地面に落ちた。


「菜々花。戻ってきてすぐにこんな話をしてごめんね? だけど、どうすればいいか菜々花に聞きたくて」


「絶対に……」


「え?」


「絶対に成功させなきゃダメ!」


菜々花が悲鳴に近い声で叫んだ。


その声は校舎の壁に響き渡る。


あたしは唖然として菜々花を見つめた。


「施設へは、絶対に行っちゃダメ!!」


強い菜々花の言葉にあたしはただ頷くことしかできなかったのだった。