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菜々花がこんな状態になっても、朱音は心配した様子を見せなかった。


「菜々花は失敗したから仕方ないんだよ」


と、他のクラスメートたちと楽しげに話をしている。


もう、朱音はあたしたちがどうなっても、なんとも感じないのかもしれない。


「ねぇ菜々花、少し話があるんだけど聞いてくれる?」


昼休みになり、あたしは菜々花を中庭へと連れ出してそう言った。


菜々花は小さな菓子パンを握りしめているけれど、食べる気配はない。


食欲が無くなってしまうほどの出来事があったのだろう。


「話って、なに?」


呆然とした状態だった今朝に比べれば、いくらか元気になったように見える


菜々花の声も、シッカリしてきていた。


「あたしにも、メールが来たの」


そう言うと菜々花の顔色が変わった。


サッと青ざめて目がキョロキョロと泳いでいる。