いかにも自殺しそうな青年として作り上げられている拓巳。


「絶対に自殺なんかじゃない」


あたしはそう確信をしていた。


学校関係者が話している映像は、草刈高校の校長だった。


学校ぐるみで拓巳の自殺を『仕方のないもの』にしようとしているのがわかった。


「里佳、まだ着替えてないの?」


朝早くからテレビを見ていたあたしに、お母さんがそう声をかけて来た。


「お母さん……」


「ちょっとどうしたの? 顔が真っ青よ?」


慌てた様子のお母さんに、あたしはようやく自分の体調がよくないのだと理解した。


そう言えば少し熱っぽいかもしれない。


あたしの周りでいろんなことが起こり過ぎて、参ってしまったのだ。


「ごめん、今日は休ませて」


あたしはそう言うと、重たい体で自分の部屋へと向かったのだった。