「拓巳って案外優しいんだね」


そんな光景を見ていた朱音が、お弁当を食べながらそう言った。


「そうだね……」


そんな拓巳をイジメなければならなかった菜々花は辛かっただろう。

成功した朱音を見た時の菜々花は何かが吹っ切れたのだろう。



でも……結果的には失敗してしまった。


菜々花は施設に送られることになる。


あたしは桐嶋先輩から聞いた話を思い出していた。


施設の話になった時、桐嶋先輩は青ざめて口数を減らしていた。


一体その施設で何が行われるのか……あたしは菜々花へ不安なまなざしを向けたのだった。