風薫る

木戸さんは本当に下手だったことが発覚した。


何でだ。

何でそこを素通りするんだ、あるよ目の前に……!


でも言わない。


探索開始前、木戸さんから、もし見つけても言わないでって頼まれていた。


……あるんだけどなあ、そこに。


傍観者だからこそだろうか。

あれだ、なくしたものを探しているときは見つけられないのに、後からふいに出てきて簡単に見つけられることがあるのと、多分同じだ。


「見つからないー!」


握った小さくて透明な袋ごと、手をぶんぶん振った。


手の熱でしおれてしまっては嫌だから、と木戸さんは用意周到に四つ葉を入れる袋まで持ってきていた。


いや、あるからね木戸さん。ここ結構あるからね。


言うこともできなくて、仕方なく苦笑いで黙っていると、あれ、と木戸さんが首を傾げた。


「黒瀬君、もしかして見つかったの?」


何だか余裕がある気が、と俺の手元を覗き込み、小さく叫ぶ。


「いっぱい持ってる! 何で!」

「結構あるよ」


とりあえず限られた範囲で言えることを探したら、そんなことしか言えなかった。


えええ、とうなだれた木戸さんの頭をなでて慰めようとして。


あ、俺手に土ついてるからやめた方がいいか。


何となく止まった、行き場のない手を隠すために立ち上がった。


あー、えっと。