風薫る

「三、黒瀬君は背が高いのが羨ましいです」


四、黒瀬君の声は低くて穏やかな声で素敵です。


五、黒瀬君は手が綺麗です。


六、黒瀬君は眼鏡が似合います。


七、黒瀬君はスタイルがいいです。


八、黒瀬君は物の扱いが丁寧です。


九、黒瀬君は本のセンスがとっても素敵です。


十、黒瀬君はさりげない気遣いが上手です。


「十一」

「ごめん木戸さん恥ずかしいからほんと……!」

「っ」


口を大きな手のひらが覆った。


「黒瀬君」


黒瀬君はこんなときでも優しいんだなあ、と呑気なことを考えた。


自分の声がくぐもって聞こえる。


「黒瀬君、顔赤いよ」

「そういうこと言わなくていいからね!」


はあ、と溜め息を吐いて、机に突っ伏した黒瀬君。


顔が見えなくなったけれど、さらりと流れた髪からのぞく耳が。

その耳が、一刷け赤い。


「木戸さんさ、恥ずかしくないのー……?」


声が私みたいにくぐもっている。


口を覆う手はまだ離れない。


「え? だって事実だよ。黒瀬君は素敵なところがたくさんあるし、私は黒瀬君を褒めてるだけだし、別に恥ずかしくないよ」

「俺は恥ずかしいよ」


褒め殺しってどういうこと本当、とか呟いている黒瀬君があんまり真っ赤なので、何だか申し訳なかった。