風薫る

「そういうところ上手いの、なんだかちょっとずるいよね」

「サンタさんもそう?」


うん、と大きく相槌を打つ。


「幼稚園とか保育所とかって、十二月にクリスマス会やるでしょ?」

「やるやる、園長先生とか男の先生とかがサンタの格好するやつ」

「だよね。サンタさんって子どもの夢じゃない、やっぱりいつも。誰もが一度はサンタさんはいるって信じると思うんだけれど」


そうだね、と頷いてくれた黒瀬君に笑顔になりつつ続ける。


「余韻に浸って家に帰って、あんまり楽しくて嬉しかったから、今日サンタさんが来たんだよって話をしたらね、」


少し低く声を作る。


「『あら、よかったわね。でもサンタさんなんていないわよ』って。それは園長先生ねーって言われたんだよ、びっくりした」


何冷静に子どもの夢を壊してるんだ、と言いたい。


本当に本当に衝撃だったのだ。


サンタさんは偉いなあ、すごいなあ、と信じて疑っていなかったのに。


思い出して拗ねた私に、黒瀬君が破顔した。


ひとしきり笑った後、素敵なご両親だね、なんてとても優しい顔をして私を見るから、どうしてか。


どうしてか、じわり、恥ずかしくなってきて、ほてった頬に焦る。