風薫る

「祝日っていうか、誕生日かな」


うん。そうだ。


「祝日から派生して、誕生日のこと考えてました」

「どういうこと?」

「私、誕生日がハロウィンなの。ハロウィンは日本では祝日じゃないけれど」


思い出すだに嬉しくない。


「ハロウィンと合わされちゃって誕生日って感じがいつもしないから、連想したんだと思う」


仮装やカボチャランタンのことを言えば、なるほどね、と頷いた黒瀬君が溜め息混じりに笑った。


「俺はお盆だよ。八月十五日」

「……わあ」


それはまた災難な日取りだ。夏休みのど真ん中すぎて、全然直接的には祝ってもらえなさそう。


「やっぱり何かある?」


覗き込んで聞くと、うん、と即答される。


「ご先祖様に叱られるとか何とか言われてさ、プレゼントなんていつも経費抑えられてて」


うんうん。分かるよ。


「私もね、和洋折衷とか融合とか言われて誤魔化されて」

「え!?」


黒瀬君が噴いた。


「何それ、切ない」

「ひどいよねえ」


当事者として切に異議を申し立てたい。


和洋の融合だから経費節減、という理屈はひどすぎると思うのだけれど。


小さい頃はまず「ゆーごー」って何かも分からなくて、反論できるはずがない。


今さらながら、両親はわざと難しい言葉を使っていたんだろう。


計画犯め……。