風薫る

「そんなに待ってないよ」


こちらも笑い返すと、それはよかった、と座って微笑んだ。


「木戸さんが読書してないなんて珍しい気がする」

「そうだね」


確かに私が図書室で景色を眺めているのは珍しい、というか初。

図書室は本を読むところだから、総じて眺めはそれほどよくないものだ。


……何かに夢中で近づく足音に気づかなかったのは、初めてではないけれど。


「連休に何か予定でも入ってるの?」


こどもの日って特定したからかな。連休、と来た。


家族旅行か何かで出かけるのかと思われたのかなあ。


多分ものすごく混むから、一日中本を読もうと画策しているくらいで、他に予定は特に何もないので首を振る。


「ううん、そうじゃないよ、えっと」


どもる。

これを言ったら笑われないだろうか。


数分前の私、何を考えてるの……!


笑わないでね、と前置きしてから、おそるおそる目を合わせる。


「……祝日だなあと思ってました」


ぽかんとされた。


そうだよね、そうなるよね。


自分でも変なのは分かっている。もし逆の立場だったら私だって困惑する。


祝日なのは当然で、意味が分からない。


思考がぽーんと変な方向に飛ぶのはよくあることで、加えてそれが個人的にはちゃんと繋がっているのもよくあることなので、何とか説明できないかと頭を整理する。


まず鯉のぼりでしょ、柏餅でしょ、それで祝日……ええと、うーんと、そうだ。