風薫る

今日の空は少し高い。


どこまでも青くて綺麗な、見事なまでの晴天が広がっている。


暖かな日差しと澄んだ空の組み合わせっていいよねえ。ほどよくからっとするから大好き。


春、図書室の窓は基本開いている。


ときどき強く吹く涼やかな風に、心地よく髪が舞う。


柔らかな音を立てて揺れる木々に耳を澄ましながら、私はぼーっと椅子の背もたれにもたれていた。


いつも図書室ではすぐに読書を始めてしまうものだから、ちゃんと窓の外を見たことがなかったけれど、ただ座ってのんびりまったりするのも結構楽しい。


ここからは通学路とは違う、あんまり知らない景色が見える。


私の家は図書室とは反対方向で少し遠いから、行ったことがない場所ばかりだ。


意外と住宅多いし、曲がり角多いし、私こっちに住んでたら道に迷いそうで怖いなあ。


……あ、鯉のぼり。


鯉のぼりってことは、幼稚園か小学生くらいの男の子がいるのだろうか。


甲冑とか武者人形とか飾ったり、柏餅食べたり、菖蒲風呂入ったりするのかなあ。


そうそう、柏餅って美味しいよね。柏の葉の香りが苦手な人も多いみたいだけれど、私は好き。


そっかあ、もうそんな時期なんだ。

帰りに和菓子屋さんに寄って、柏餅を買って帰ろうかな。


もちろん私の分は二つ買って……って、あ、またあった。