風薫る

ニヤニヤ笑う瑞穂から逃れるべく、放課後、図書室に急いだ。


もちろん瑞穂には、来ないでね、と釘を差してある。


この学校は四階まであって、一階には職員室やその他諸々、二階に三年生の教室、三階に二年生の教室、四階に一年生の教室という一年生に優しくない設計になっている。


図書室は一階にあるので、とても行き来しにくい。


今もだけれど、一年生のときは教室に行くのも図書室に行くのも大変で、往復だけで普段の運動量を超える。


あまり運動をしない、というか運動神経が悪くてあまり運動ができないので、ひたすらに運動を避けてきた私には辛かった。


図書室に行くのは放課後が一番いい。


とっくの昔に定着した我流の規則に則って、今日もいつも通りに扉を開けた。


そっと見回す。


黒瀬君はもう来ているかなあと思ったのだけれど、瑞穂から逃れようとするあまり早く着きすぎたらしい。


黒瀬君は図書室のどこにもなかった。


「……座ってようかな」


黒瀬君が来るのを座って待つことにしよう。


待っている間に本を読むのは、さすがに少々躊躇われて自重して、そっと窓の向こうを眺めてみる。