「でも、もしかしたら私から告白するかもしれないかな。そのときも多分、自分が言われて嬉しいのと同じで、好きですって言うんじゃないかなあと思うけれど」

「そっかあ」


好きです、って。これからも一緒に読書がしたいです、って伝えたら、黒瀬君はなんて言うかな。言ってもいいのかな。

もし伝えてもいいのなら、叶わなくても構わないから言いたいな。


……好きですって、黒瀬君に言いたいなあ。


言ってもいいのか分からなくて、言うにしても今ではないのは明白で、そうっと視線を外す。


「黒瀬君は?」

「え? 俺?」

「うん。黒瀬君は、理想の告白ってないの?」


きょとんとした黒瀬君は、目を伏せて考えを巡らせたらしかった。ゆっくりその口元が弧を描く。


「そうだなあ、俺、も……好きですって言いたいし言われたいかなあ」

「ほんと!? じゃあお揃いだね!」

「お揃いだねえ」

「うん。お揃い」


ふふふ、と笑い合う。


愛してるみたいな、構えちゃうほど甘い言葉はいらない。言葉はなんでもいい。気持ちが見えればそれでいい。


好きです、でいい。好きです、じゃなくていい。


一緒にいたかった。

本の貸し借りがしたかった。隣で、笑っていたかった。


……私、私ね、ずっとずっと、黒瀬君と一緒にいたいよ。