風薫る

水分補給談義です。

あたふたしているうちに約束事が増えました。


とは言えるはずもなく、とりあえず曖昧に笑ってみた。


「てか木戸さん飴食べてないし……」

「え、あ、うん」


そっか、まだ食べてなかった。


途中でやめちゃったから、結局食べるタイミングを逃してたんだよね。


「食べるね!」

「うん。どうぞ」


意気込む私に口元を押さえる黒瀬君。


……言っておくけれど、それ、笑ってるのバレバレなんだからね。


頬を膨らませながら両手を開く。


「と、わっ」


——落としかけた。


……なんて残念なの私。


そう、これはあれだよ。

怒りから。怒りから手が震えたんだと思いたい。


そーっと黒瀬君を伺うと、何とも言えない顔で私を見ている。


「……食べるのも手伝おうか、俺」


うわああんやっぱり!


絶対言うと思ったよ!

どうせ私は飴もろくに食べられない人ですよ!