風薫る

隣を歩いて話しながら、のんびり階段を下りる。


久しぶりに、いつもしていたみたいに本の話をしていたら、文末で急に喉が詰まった。


低音が掠れる。


……今日のテスト中、ずっと換気してたからかなあ。


周りは皆平気そうだったから我慢していたけれど、寒がりな私には少々寒くて、ずっとぞわぞわ悪寒がしていた。


地味に風邪を引いたかもしれない。


こそっと話の区切りで小さく喉を鳴らしたけれど、やっぱりまだ掠れているし、喉が痛いし、違和感が消えない。


「どうしたの? 風邪?」


……黒瀬君に心配させてしまった。


風邪かは確信が持てないので、とりあえず首を振る。


「なんか喉詰まってて。ごめんね」


大丈夫だよ、と黒瀬君は言ってくれたけれど、いきなり喉鳴らしてたらそれは驚くよね。ごめん。


うう、でも違和感が本当に全然消えない。


これはどうしたらいいんだろうか。


困っていると、「いがいがする?」と聞かれた。


すぐさま頷く。


「いがいがする」

「そっか」


相槌を打って、今日ちょっと寒かったもんね、と言いながら黒瀬君はポケットを探った。