「でも」




舜がそう言った時




「舜、璃玖君の言う通りじゃぞ。
今のお前がどうやって葵ちゃんを守るんだ」




俺たちの後ろから低く落ち着いた声が聞こえた。




振り返るとそこには舜のおじいちゃんと葵のおじいちゃんを始め、高田家、一ノ瀬家、土田家の全員が立っていた。




それに九尾様と…あと1人うちの制服を着た男の子が1人いる。




「じいちゃん…?なんでここに?」




舜は相当驚いているようだ。




「事情は九尾に見せてもらったよ。
舜君、葵が本当にすまないことをしたね」




そう言って葵のおじいちゃんが頭を下げた。




九尾様の"観る"能力か…




「いえ…
俺は全然大丈夫なんですけど葵が…」




「その事なら心配いらない。
部下たちに葵の捜索に当たらせてるよ」



葵のお父さんがそう言う。




葵、大丈夫かな




相当取り乱していたし外は雨が降っている。
何もなければいいのだが…





「君たち全員に話さなくてはならない事がある。
病院の会議室を借りた。今から少し付き合って欲しいのだが」




葵のおじいちゃんがそう言い、俺たちは顔を見合わせる。




これだけの人が集まって、ただ事ではない事は俺たち全員理解しているつもりだ。




それに葵のお母さんの目が赤く腫れている。きっと泣いたあとだろう。




多分今から会議する事は葵のことで間違いないだろう。




「いこう。」




舜がそう言って俺たちは会議室に移動することになった。