「とりあえずはこれで大丈夫だとは思いますけど、無理はしないでくださいね。傷、かなり深いのですぐ開いてしまいますから。」




足に包帯を巻いてくれる医者がそう言う。




突然大出血するもんだから医者も看護師もだいぶ慌てていた。




「はい。ありがとうございました」




舜がそう言って診察室を出ると泣きそうな顔をした拓海と複雑な表情をした柊がいた。




「悪い待たせた。
俺は大丈夫だから葵を探しに行こう。」




おいおい…重傷なのに何言ってるんだよ




あの傷の深さじゃ歩くのもやっとだろう。




舜の傷はかなり深く、止血するのも困難なほどだった。



舜の体からはかなりの血が失われたから点滴して下さいと医者に何度も言われていたのに"そんな時間はない"と言って断固拒否した。




「だがお前その足じゃ…」




柊が舜の足を見る。



真っ白だった包帯は所々赤く染まってきている。




「それより葵が今1人だ。
俺が早く見つけてやらないと」




舜の顔には焦りが見える。




こんな傷を負っても尚、舜は葵のことしか考えていないようだ




「俺探してくる。外は雨降ってるしお前たちはここで待っててくれ」




そう言って葵を探しに行こうとする舜の腕を掴んだ。




「璃玖?」




舜が振り返る




はぁ、と一つため息をつく




「お前は重傷なんだぞ?
その足でどうやって探すんだよ。」




葵を探すなとは言わない。
でも今の舜の足じゃ葵を見つける前に舜が先に倒れるのは目に見えてる。