すみません。
 ご迷惑おかけして、と頭を下げると、
「いやいやいや、茅野ちゃん」
と椅子に座り、アイスティーを頼みながら、玲は言ってくる。

「相変わらず、すぐ騙されるね。
 危ないよ」

 そんなんだから、茂野社長にも騙されたんだよ、と余計な一言を付け加えてきた。

「おにいちゃんが言うわけないじゃん。
 僕と茅野ちゃんの二人で行けなんて」

 ははは……と笑いながら、玲を眺める。

 というか、周りに居る女性たちも、みな、チラチラと玲を見ていた。

「玲さん、すっかり、男の方が板について来られましたね」
と言って、

「……ごめん。
 僕、最初から男なんだけど」
と言われた。

「でも、お美しい玲さんに会えないのはちょっと寂しい感じもしますけど」
と笑うと、そこに含んだものを読み取ったように、

「どうかしたの?」
と玲は訊いてくる。

「いえ……。
 ちょっとお話があったんです」