ふぅ………。
なんとか紅茶に関しては音をたてずに飲むことは出来たから、朝食会でもこれを実践するのみだ。
そして、次に私が教わるのは姿勢だった。
「姿勢が悪いと目線も下がるんだよ」
「そ、そっか。でも、猫背ってわけじゃないと思うんだけど……」
背筋を伸ばして、隣の椿を見る。
か……完璧ってこういうことなのかな。
硬くもなく、けど凛としていて、仕草ひとつさえも見惚れてしまいそうになる。
さすがは御曹司。
「明里は力入れすぎじゃない?」
すると椿は立ち上がり、私の隣に来ると少しかがんだ。
「もっと力抜いて?」
すっと私に手を添えて肩を抱き寄せた。
突然のことに、心臓が跳ねそうになる。



